食の歴史から食の安全へ 2017 9 24
「食の歴史」を知ることは、「食の安全」につながる。
書名 ねじ曲げられた「イタリア料理」
著者 ファブリツィオ・グラッセッリ 光文社新書
目次を見ると、興味深いものがあります。
第一章 トマトソースは、イタリアの「伝統料理」ではない
第二章 ピッツァは、アメリカからやってきた
第三章 「パスタ」は「麺類」にあらず!
第四章 エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルは偽物ばかり
第五章 「地中海式ダイエット」のウソ
第六章 外国人観光客がカプチーノを作った
第七章 スローフード運動は、なぜダメなのか
第八章 「色のよすぎるハム」と「食の支配者たち」
まず、第一章の、
「トマトソースは、イタリアの『伝統料理』ではない」というところが興味深いでしょう。
これは、日本料理で考えれば、よくわかります。
日本人が好きなラーメンやカレーライスは、
日本古来の食事ではありません。
まだあります。
最近の日本人は、焼肉が好きでしょうが、
江戸時代の人たちは、「肉類」を食べなかったと思います。
寿司は、日本の伝統料理でしょうが、
江戸時代の人たちは、「大トロ」は食べなかったと聞いたことがあります。
「大トロ」は、脂身が多いので、捨てていたという話もあります。
次に、第四章の、
「エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルは偽物ばかり」というのは、
全く、その通りだと思います。
日本では、スーパーに行けば、
エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルばかり並んでいますが、
私は、そもそも、そういうオイルは、イタリア国内で消費されて、
海外には、輸出する余力がないのではないかと思っていました。
さらに、エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルは、
日本人の味覚を考えると、料理には、不適ではないかと思っています。
この本から引用します。
高品質の「エクストラ・ヴァージン」オリーブオイルを作るためには、
まだ十分には熟していない緑のオリーブを収穫して、
採ったら、すぐに圧搾する。
だから、色は緑がかったものになるし、
味も、辛みと苦みをはっきりと感じられるものになる。
(引用、以上)
そういうわけで、エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルをなめると、
ピリピリした辛みと苦みを感じるはずです。
辛党やビール好きの人ならともかく、
日本人の味覚を考えると、
エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルは、日本人には合わないと思います。
この本から、もう少し引用しましょう。
少なくとも30年ほど前まで、
収穫されたオリーブは、まず麻の袋に詰められ、
日陰に2〜3週間積まれて、発酵させるのが一般的だった。
こうすると、オイルは、たとえ、それが「ヴァージン」なものだったとしても、
色は、黄色っぽくなり、辛みや苦みが少なくなる。
(引用、以上)
現代のイタリア人の味覚を知りませんが、
もしかして、イタリア人は、まろやかな味のオイルを好み、
ピリピリした辛みと苦みを感じるエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルを嫌うならば、
そういうエクストラ・ヴァージン・オリーブオイルは海外に輸出するかもしれません。